「世界で最も美しい美術館」としてベルサイユ賞を受賞
楽々園から岩国方面にある大竹市は宮島のちょい先というイメージなのですが、そんなところにある「下瀬美術館」は世界的に有名な建築家・坂茂氏が設計し、ユネスコの「世界で最も美しい美術館」の最高賞であるベルサイユ賞を受賞したことで最近ちと話題になっております。
しかもロゴなどグラフィックデザインは超大物のデザイナー原研哉氏とあって、一地方都市の美術館とは思えないほど(?)洗練された雰囲気。敷地内には高級路線のヴィラやレストランが点在しラグジュアリーな滞在施設としても機能しているようです。
企画展「ちいさきかわいいものたち」に訪れた

JR大竹駅からシャトルバスで約10分(基本土日祝のみ運行)、大竹の港湾地区のゆめタウン大竹の奥の湾沿いに下瀬美術館は位置しています。アプローチから入口に近づくと、ガラスばりのメインエントランスの向こうには瀬戸内海が透けて見えて参りました。エントランスはまるで「大きな樹」が全体を包み込みこむかのようなつくりになっており、こういった木の使い方は坂茂氏の特徴でもあるとのこと。

ガラスの向こう側のテラスには下瀬美術館最大の特徴であるカラフルなコンテナの可動展示室が水面に浮かんでおり、さらにその先に広がるリアル瀬戸内海に浮かぶ島々との景観が広がっています。特に存在感を示している宮島(厳島が正しい島の名前らしい)は、かなり大きな島であることがよくわかります。

コンテナが浮かぶ水面やガラス張りのメイン展示棟に、瀬戸内海の海や空や島々やコンテナ達が映り込んでとても美しいですね〜テラスの先にはこれまた瀬戸内海に開けた景観が素敵そうなレストランがあったので、一応メニューと価格をチェック。ランチで最低価格は6,000円〜、10,000円前後のコースがボリュームゾーンかと思われ、美術館のレストランとしては高級路線。おそらくこちらのヴィラに宿泊されるお客様向けなのかなと勝手に想像。ちなみにヴィラの宿泊は一棟約30万円くらいとあってそれに見合ったクオリティを提供しているのかと思います。
企画展示は基本コレクション
エントランス棟の丸い建物の設計も非常に面白くお手洗いやロッカールームなども興味深いです。エントランス&テラスだけで満喫しておりましたがここまでは無料で出入りできるエリア。なかなか展覧会場にたどりつけていませんが肝心の展覧会へ、ようやくチケットゲートから展示室へ入場。
今回の企画展はコレクションの雛人形やその周りのミニミニ道具達を中心としたもので、写真撮影は自由に行うことができました。(SNS投稿はNGでした)
そこから常設展示の可動展示室へ。一つのコンテナブースがコンパクトなため、観やすいといえば観やすい会場かなと思いました。各コンテナの自動ドアをくぐると渡り廊下のような通路を抜けて次のコンテナ展示室へ入るという順路で、常設展示もテーマごとにコレクションで構成されておりました。ちなみに可動展示室や通路からは一切、外の眺めはありません。
展覧会場の奥に広がる庭園や眺望テラス

チケットが必要な展覧会場の奥には瀬戸内海を望む洋風の庭園が広がっておりました。そしてあちらこちらに素敵な舗道があってガラスに映り込む空や樹々がどこをとっても絵になります。さらに建物に沿って古墳のような小山を登っていくと企画展示室の屋上には瀬戸内海が一望できる大きなテラスが広がっておりました!

左にある大きな島が宮島(厳島)、その他島々が連なり、右側の大竹市内の方には工場群がよく見えました。自然の海や島々、空とインダストリアルな工場群、そしてポップカラーのコンテナたちという異質のマテリアルが渾然一体となっているはずなのに、それぞれが違和感なく美しく見えてしまうのは坂茂氏の手腕ならではといえましょう。

建物と景観を見るだけでも十分に楽しめる美術館ですが、今後の企画展にも期待してまた訪れたいと思います。