私が24歳で舞踏の初舞台を踏んで半年後、大胆にもテルプシコールの舞踏新人シリーズでのソロ公演を行うことを決めました。この作品では当時私が乗っていたバイク(と言っても原付のホンダCD50)で道路から劇場に直接乗り入れるという「出オチ」により私の経験のなさや拙さを勢いでカバーした感じではあったのですが、一応構成や演出など拙いなりに自分で考えられてうれしかったです。その中で音楽というものは私の中では最も自信のない分野なのですが、私のなかでは舞踏というものの魅力としていわゆるジャンルを超えた表現者との共同作業による相乗効果で時代をつくっていくというものがあったのですから、やはり「生」の今の同じ時代をともに生きているミュージシャンによる即興演奏は取り入れたいというのは普通に思いました。そして即興演奏のスキルは無知数ですがその音楽センスに絶大な信頼を寄せていたイヌカミリョウにギターソロで出演を依頼。でもそれだけでは劇場の公演で約1時間の作品としては物足りないかなと。ちなみに舞踏家大竹宥煕氏のもとで私は舞踏デビューしたわけですが、大竹さんの舞台ではものすごい荘厳なクラシックの名曲などを使用していまして、やはり何かクラシックのような自分には足りない歴史の重厚さのような何かそういう部分も舞踏公演には必要かな〜と選んだのが、クラシックにして前衛を感じるストラヴィンスキーの名曲「春の祭典」でした。まあでも植物と関わりが多く季節感満載の生活を送っていた私にとっては自然な流れだったのかもしれません。ただ、いきなり冒頭から「春の祭典」は重すぎるなと、結局その時冒頭の曲に選んだのは私が学生の時一人旅をしたトルコで買ったカセットテープで当時一番流行っていたムスタファ・サンダルという歌手のアラブの風ムンムンの歌謡曲、あとピアソラだったかな…?やっぱり第三世界のワールドミュージックが好きみたいです。そして春の祭典の一部を20分からの、ギターの生演奏を約20分。あとフィナーレにサンバをひと踊りしたくてカーテンコール的にサンバの名曲「トリエステーザ」を入れるというてんこ盛り具合。まさにやりたい放題といったところ。でも私の考える舞踏にとって一番大切なものはやはり「オリジナリティ」だと思っていたので(今もそう思いますが)それはそれで今にして思うとこんなこと誰もしないな〜というようなラインナップになっていたんじゃないかと思います。
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とにかくストラヴィンスキーがオドリコのための交響曲のつくり手としては本当にすごいと思う。
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