笠井叡氏がドイツから帰国して開催された記念すべき公演
Master Wotazumiはかつて土方巽アスベスト館のワークショップに参加し元藤燁子氏に教えを受けていたなど若い時分から舞踏に興味を持っていたのですが、先日、思い出したかのように「自分が今まで観た舞踏公演の中で最も印象深い公演は笠井叡氏がドイツから戻ってきて中野ZEROで行なった公演である」と言い出してそのチラシをOddRoomに寄せてきました。公演が行われたのは実に1994年、Roomin’が美大に入学した年でまだ舞踏のことを知らないウブな小娘の頃のことです。周知の通り笠井叡氏は天使館を立ち上げ舞踏などの活動ののちドイツに渡り、オイリュトミーの世界を深めておられたかと思うのですが、その後に帰国して行われたこの「セラフィータ」はMaster Wotazumiによるとかなり衝撃的な作品だったらしいです。出演は笠井叡氏の他に山田せつ子、杉田丈作、他とあり今までこの公演のことをあまり話に聞くことがなかったので私としては意外な感じすらします。さらに照明は故相川正明氏、舞台監督は桜井郁也氏などおなじみにして意外すぎる顔ぶれが並び、これだけでも結構気合の入った公演であったことは想像がつきます。
Master Wotazumiによると笠井叡氏があまりにもすごすぎて(どうすごかったのはおそらく観た者でないとわからないかと思うのですが)山田せつ子氏が途中でおどることを静止したらしくそのことがとにかく印象に残っているとのこと。どういうすごさだったのかはわかりませんがそこで静止したのはなかなかいい即興だったのではないかなと勝手に妄想したり…、とにかく観ないとわからないらしいので。でもそこまでいうからには相当すごかったのだと思います。
市川雅氏、高橋巖氏そして元藤燁子氏が文章を寄せ、美術は中西夏之氏による傑出さ
当時のチラシをここまで大切に保管してあるというのもきっとその公演の素晴らしさによるものなのでしょうがさらにこのチラシのすごさを知ることになります。表面に施された透明感あるドローイングは美術界の重鎮・中西夏之氏によるもの、中西氏といえば土方巽などとも交流がありRoomin’が最も憧れる「ジャンルを超えた超一流の才能の交感の時代」を生きていたと記憶しております。それだけでもかなりのインパクトなのですがさらに中面の寄稿文がすごい。OddRoomingにとっても重要人物の一人であるシュタイナー研究の第一人者・高橋巖氏と劇場「テルプシコール」の名付け親・市川雅氏による推薦文、さらには元藤燁子氏による「笠井叡さんへ」と題された文章が掲載されており、特に元藤さんの短い随筆のような読んでいてその時代が想起されるなかなか興味深い内容なのです。本を読むことが生きがいのひとつでもあるMaster Wotazumiも「元藤さんの文章が面白い」というのもうなづけます。勿論高橋巖先生の考察は素晴らしく、以前OddRooming一行が先生の講義を聴きに行った時に感じたニュートラルな深みを思い起こします。→京都に高橋巖氏の講義を聴きに行ったときの話
OddRoomのチラシ展示室に掲示
チラシってしまい込むと取り出してみることがなくなってしまうのですが、いつでもみることができる場所がお手洗い…ということでOddRoomのトイレには新旧織り交ぜてフライヤーやポスター、DM、写真などを気の向いたままに常設展示しております。実はこれは舞踏靑龍會のアトリエのトイレの前後左右壁一面が歴史的なフライヤーやその他資料で埋め尽くされているのを前々からいいなぁと思っていてそれを真似しました。流石に「セラフィータ」のチラシは一部しかない貴重なものなのでB4のクリアケースに入れて、中面はカラーコピーして両面が読めるようにしました。これで1日に何回もこの深淵で崇高な世界に向き合うことができると思うと大満足の気分に浸るのでした。