好きなことはライフワークで、職業は得意なことを/しごとは「人から求められること」が向いている?

CREATIVE

自分のやりたいことを仕事にできている人って真に尊敬します。少なくとも私はそうは言い切れない部分が多々あります。多分私が一番極めたいと思っているライフワークは間違いなく「舞踏」なのですが、だからと言ってこれが手放しで好きかと聞かれるとそれは正直微妙なところかもしれません。この舞踏の活動は生涯コツコツと追求を重ねるいわばライフワークであってそれが「好き」とかいうのはちょっと違うのかなと思うのです。もし単純に好きなことと言われれば植物のこととかヲ得情報とかの方が明らかに苦労なくできることかと思います。

「感性」に従い、なんとなく直感でしごとを決めていた時代

私が大学を卒業した頃はまさに就職氷河期の絶頂期にあり、就職活動というものをした記憶がありません。そもそも美大だったので就職を志さない人が多かったのかもしれませんが、それでもなんとなく「感性」で生きていた時代でした。とりあえずは制作活動を続けながら生活していくために私が完全なる「感性」で最初に選んだ仕事は「花屋」のアルバイトでした。時給は確か750円だったかと思います。しかも住んでいた街のフリーペーパーに掲載されていたフラワーショップ特集の記事の隅っこに「スタッフ募集」と書いてあるのをみただけで飛び込みで「あの〜スタッフ募集という案内を見たのですが…」と店長らしき人に声をかけ、なんとなく即採用となりました。(未経験です。)当初は「植物と関わる生活の中で感性を磨き表現活動に反映させる」などともっともらしいことを掲げておりましたが、紆余曲折ありつつも花屋という仕事は20代の私にあっていたと思われ何店舗か移籍を経ながらも10年ほど続きました。…というのもはじめは美術作家志望だった私がほどなくして舞踏をはじめ、どう考えても自分の適性はおどりの方が向いているなと感じて舞踏に集中するようになっていくと、肉体労働である花屋の仕事とのバランスはとてもよかったのです。夏は暑く、冬は極寒の中も堪えてきた甲斐があって知らず知らずのうちに身体が鍛えられてきたんじゃないかと思うし、植物に触れる毎日は精神的には非常に心地よいものでした。

まさか自分がデザイナーになるとは夢にも思わなかった

30歳を過ぎてしばらく経つとやはり世の中ではそれなりの地位や財産を築いているべきだという価値観にも嫌が応なく晒されてきて、「第一次焦り」時期が到来しました。今まで、チャランポランに生きてきた割に随分虫のいい話かと思いますが、いくら表現活動に打ち込んでいても時折「これでいいのだろうか」と思うこともあるわけです。そのタイミングで花屋の仕事が続けられなくなる出来事があって、どうせなら心の中に芽生えはじめた「DTP」のしごとにチャレンジしてみようかと考えはじめました。
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→なんと採用された:30代未経験でデザイン求人に応募→採用/経験よりもやる気重視ってありなんです
未経験でDTPの制作職につくことができてから何度も不景気の波にグラグラ揺られながらも「もう後がない」必死さを重宝されたのか、35歳直前で生まれて初めて「正社員」になることができて忙しかったけど会社勤めのスキルを遅らばせながら学ばせてもらいました。
その後ニューヨークへ行くためにその会社は退職し、帰国後しばらくフリーな状態を続けていたのですが、短期で仕事した先でお声がけいただき最初はあまり気乗りしなかったのですが、求められるがままにデザイナーとして職を得ることになりました。結果的にはデザインについて随分学ばせてもらい経験を積むことができたので本当にありがたく思います。デザイナーといってもいろいろなタイプの方がいるかと思うのですが、私はどちらかというと半分デザイナー半分身体性みたいな感じでクリエイタータイプというよりは調整型かなと思います。何れにしてもデザイナーはアーティストではなくサービス業だと思うのでクライアントやパートナーにとっていい意味で「便利」な存在でいられればという立ち位置です。(決してクライアントのいうことをなんでもホイホイ聞く都合のいい「便利」という意味ではありません。)

「舞踏では正直でいたいからしごとにしない」と思ってた

OddRoomingは、いかに舞踏や即興演奏のような「一銭の得にならなそうなマイナーな表現活動」と「経済生活」(要するにお金)を楽しく両立させるかということを日々考えています。私はどちらかいうとおどりを生業にすることで自分のやりたくないことに手を出してしまったり、営業のために気の進まない公演を観に行ったりすることに抵抗感があって、生計はあくまで他の手段で取ることをビジョンとしてきたわけですが、経験を経てやれることが増えてくるとその先の可能性も広がったり違った結果になったりしていくもので、いままでは考えつかなかったような新たなビジョンも思いはじめています。

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