2017年6月、有給休暇を無事に取得して3年ぶりのニューヨークにくることができました。その週末、city(「Newyork city」つまり「nyc」ようするに「ニューヨーク市内」のこと)での活動として今回白石民夫氏が設定してくれたライブは、以前私がその建物内の別のキッチンのある小部屋でおどったことがあって「いつかここで踊れたらいいな〜」と憧れていた「Silent Barn」で行われるものでした。
→2014年白石民夫氏と行ったSilent Barnのキッチンでのライブのこと「ニューヨーク/憧れのSilent Barnだけどキッチンの脇の舞台で白石民夫とデュオセッション」
どうやら白石さん自身も地元のDylanさんという音楽家からその出演を招へいされたようなのですが、さらに白石さんがその場に私をぶち込んでくれたという図式です。そのミュージシャンは「ドローン」と呼ばれる音楽分野であるという前情報をお伺いし、音楽のことに疎すぎる私は「ドローンとは小型飛行機のことでしょうか?」と返事をし本気でラジコンヘリのドローンを用いたパフォーマンスか何かと思っていたのですが、どうやらドローンとは音楽のジャンルの一つのようで、まぁわかりやすくいうと「環境音楽」と言いますか自然音にも似たノイズのようなものであるようでした。
その日はOddRoomingのメンバーでツアーを共にしていたMaster WotazumiがCreative Music Studio関連の別の予定があり、ひとりで会場のSilent Barnへ。だいたいニューヨークでライブに出演する際は楽屋がない場合が多いので(特に即興イベントなどの場合)大抵は基礎化粧すなわち白塗りは滞在先で済ませてから出かけます。様々な人物が共生しているニューヨークシティのことですから、その道中の電車内においても私が白塗りをしていてもそんなことを気にとめる人はほとんどいません。ニューヨークのブルックリンの中でも特に即興やアートシーンにおいてアツイハコが集まるMyrtle Avenue駅を降りてBushwick Ave.の方へ進んで大通りを渡るとそこに「Silent Barn」はありました。(もうほとんど地図なしでもたどり着くことができた自分にちと感動…)こちらへ訪れるのは約4年ぶり。久しぶりに白石さんと再会し、会場の様子をさっと下見してから、敷地内にある中庭で白石さんと積もる話をしていたら、結構お客さんが集ってきました。Silent Barnでは週末の夜には即興の4組くらいが出演するイベントが非常に良心的な入場料(確か8ドルだったような)で開催されていて、「ここへくれば何か面白いものが見られる」といった感じでアート感度の高いニューヨーカーが集まってくるようです。常連の人たちもいるようで互いに会話も楽しんでいるように見受けられました。
そうこうしているうちに、今日のライブの設定をしてくれたDylanさんがやってきて初めてのご挨拶。白石さんをライブに誘うということでもっとベテランの方かなと思っていたのですが、思ったより若く真面目そうな好青年でした。この時点で私は彼がどういう音楽を演奏するか全く知らなかったのですが、その清潔感があり穏やかな佇まいに親近性を感じ最初からすごく自然に共演できた気がします。さすが白石さんに目をつけただけのことはあるとでも言いましょうか。彼の音つくりから醸し出される空間は決して出過ぎず、先進的であるように見えてどこか原始的のような音は私には心地よかったし、白石さんもその日Dylanさんとの共演は初めてだったらしいのですが、とても気持ち良さそうにライブ会場の暗がりから音を発しながら渡り歩いておりました。さらにその日のライブではVisual Artistの方が映像を投影してくれていて当然ながらその映像も即興なのですが、舞踏公演の照明では決して味わうことのできないその「場」においての邂逅に帰依した次第、かねてより憧れてここで踊ってみたいと思っていた場所でおどれたこともあってすごく充実した時間でした。そういう空気をラッキーなことにその日のお客さまがたと共有できたのか、本番中は見ている側の集中を感じ、終演では喝采を感じることができて非常に清々しい会だったと思います。
どうやらありがたいことにDylanさんもこのユニットを気に入ってくれたようで、ライブの後、彼から「来週、Park Churchという教会のイベントでパフォーマンスをするのだけどそこに出てほしい」との嬉しすぎるお誘いをいただきました。しかも、たった数日のnycでの日程において奇跡的にその時間帯なら出演可能だったのです。教会でおどるなんて考えただけでも背徳感に溢れてワクワクです。
今回のニューヨーク旅程では週明けから4泊5日でアップステートで行われるCreative Music Studioの合宿ワークショップに参加なので、そのあとの楽しみがまたひとつ増えた次第です。
→2017年久々のNYその3・Creative Music Studio 合宿WSへ続く
→前回「2017年久々のNYその1/有給とって10日間でライブとCMS即興ワークショップ参加の日程を組む」
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