OddRoomingが森の生活を試みるOddRoomはF市街の中心地まで徒歩圏内であるにも関わらず身近な自然に囲まれています。特に至近距離にある城跡はちょっとした森というか山となっており、しかも大きな公園に連なっていてまるでニューヨークのセントラル・パークのようなカオス地帯でもあります。(実際ニューヨークのセントラル・パークは広大な原生林で、青木ヶ原の樹海のような気配すらあったりします。)その公園の端に城跡のお掘として流れる小川沿いの歩道がRoominの通勤ルートなのですが、冬を越え春になって木々が芽吹き、そのお堀の端に堂々と鎮座する楠の存在にある日突然気がつきました。ちなみに楠は常緑樹で冬の間も葉はついていますが新緑に芽吹く新緑の美しさは格別です。九州北部ではよく見られる木で神社などで御神木となっていることも多くて(例:武雄神社など)城であるこの場所に植えられたのも、そういった霊木的な意味もあったのかもしれません。でも今までここに楠がいたことに全く気がつかなかったのになぜか突然この木の存在に驚かされたかというとそれには私独自の経緯があったのでした。
というのも普段はお堀沿いにある歩道に沿って左からこの木の下を通っているので、この木の内側しか知らなかったのです。この通りにはメダカや亀などが生息する元々お堀と思われる小川が流れていてその脇には桜がいい感じで咲いていたりするのですが、桜の開花が終わると同時に新緑がすごい勢いででてきます。この時はただわさわさした木くらいにしか思っていなかったのですが、いざその木を違う方向から外から見てみたときに、その様相は全く違って見え、あまりにもその違いをみたときに、外から見ると木の外見というか概要をみている一方で中から見ると「木の胎内」とでも言いたくなるような世界が広がっていて、まるで木の中にある小宇宙に入り込んでいるかのような気分に浸ってしまい、ちょっとしたトランス状態に陥りました。(注:通勤中です)
さらにその「木の胎内」を凝視すると、そこには蔦がからまり、シダや苔が着床する世界が構築されていて、まさに「マザーツリー」ぶりを発揮しています。確かジブリの映画「となりのトトロ」でも木の中をトトロと飛び回りそして木の外に飛び出るといったシーンがあったかと思うのですが、本当にそんな感じといいますか、木の中には木を外から見ただけでは想像もつかないような宇宙があるということを日常の隣で経験したのでした。