先日糸島のピアニスト河合拓始氏から久々に箱崎水族館でのライブのお知らせをいただきました。
河合さんとは本当に久しぶりで、その会の演目は即興ではなく現代音楽の演奏ということだったのですが、行きたい気持ちが湧いてきました。ご案内によると河合さんが「一柳慧」氏の図形楽譜の7作品の演奏に以前から取り組んでおられ、この度横浜で行われる一柳慧のフェスティバルに出演されるということなのですがそれに先立ってこの作品群を福岡で演奏されるということでした。音楽のことにあまり詳しくないRoomin’はそもそも「一柳慧」氏のことも存じ上げないのですが、まぁ河合さんが久々のライブを箱崎水族館喫茶室で行うということに立ち会いたくなり出かけた次第です。(03/13/2021)
→河合拓始氏について「糸島の実家の近所に河合さんが移住していた/音楽家・河合拓始という創造の源」
→箱崎水族館について「「本と音楽」とコーヒーととど/福岡で即興ライブを行えるハコ/箱崎水族館喫茶室」
午後4時開演という時間設定もなんとなく嬉しいものでした。近頃めっきり夜に出かけることもないものですからこれくらいの時間帯に活動できた方がありがたいですね。今回の河合さんのライブは感染対策をした上で人数限定(完全予約制)で開催されていて入り口では箱水ご主人の花田さんによる体温測定チェックがあり、また感染者が出た際に連絡できるよう連絡先を記載するということになっていました。キャパシティの約半分の15人を定員と設定していたとのことですがちょうど15人が入場したということで、密にならない程度にいい感じに席は埋まり久しぶりの河合さんのライブへの期待感は高まります。
今回の演目である一柳慧の図形楽譜の演奏にはピアノの演奏という概念を超えた(河合さんの解釈としての?)様々な秘技が盛り込まれているのですが、それらを準備するために幕間には準備&MCが入りつつの進行で、普段の即興演奏とは全く異なる展開でライブは進行しました。楽譜の指示に忠実かつ真摯に取り組み、曲によっては楽譜を構成するアクションを生み出す「モノ」を取り出しピアノの上(いわゆる鍵盤の上だけではなく、主に弦の上)に並べていきます。こういった職人的、研究者的な博士のような「奇才」ぶりは河合さんの集中力をさらに際立たせている印象で彼の本質にどこか迫る要素があるのではないかな〜と感じさせられました。全力で追求するその様子はこれがもはやピアノや音楽であるかどうかを超越した研究者や博士のようにもみえ、かといってこの演奏や譜面の解釈には河合さんの音楽家やピアニストとしての経験や感性や譜面の世界への飽くなき追求心から成る極めて高次元での行為であることがその身体から感じることができたような気がします。
来たる3月20日には横浜で行われる「Toshi伝説」というイベントで、かなりの大規模のホール(神奈川県立音楽堂)でこの曲群を演奏するということですが、箱崎水族館のように距離が近い場での感覚とまた違う何かを持ち込まれることでしょう。そんな「奇才」ぶりに是非お立会いください。
→Toshi伝説「エクストリームLOVE」(イベント詳細はこちら)
そして久々に訪れた箱崎水族館では、帰り際に花田さん(奥さん)がポツリと「みなさんにお会いできてうれしい」としみじみおっしゃったことが印象的で、自分も活動を通じて少しずつ何かを取り戻せたらと改めて思うのでした。このようなモチベーションを感じさせてくださったきっかけとなった河合さんはやはり「創造の源」だなと思います。
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クラシックのピアノ演奏から、即興演奏まで類稀なる感性と技術の持ち主である河合さんは、トイピアノの名手でもあります。河合さんのトイピアノによるアルバム。
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