2014年の6月にCreative Music Studioの合宿ワークショップでニューヨーク州のアップステートに訪れたのですが、そのすぐ後にまたアップステートに行く機会がありました。「Share」というグループに関わっているMaster Wotazumiは例年訪れているらしいのですが、以前虫丸さんがパフォーマンスを行ったGrace Exhibition Spaceのオーナーでもあるジル夫妻が所有する「私有地」にてそのキャンプは行われていました。まぁ、人それぞれお金の使い方は違うわけですが、こちらの夫妻は本当にお金持ちらしく、しかもそのお金をアートや音楽やその他ワクワクすることに惜しげなく使っているという素晴らしい方々で、彼らの私有地をコントリビュートされて行われる森のキャンプは美しいアップステートの自然と集う人たちの自由な精神と音楽とパフォーマンスが味わえるちょっとすごい「森の日々」でした。
現地へは自家用車のない我々はバスでアプローチ、アップステート行きの長距離バスはマンハッタンのど真ん中タイムズスクエアの近くにある「ポートオーソリティ」から発着します。Creatine Music Studioの夏のワークショップに行く時に乗ったウッドストック方面のバスと同じ系統のアップステート方面行きのバスで、目的地は何が何だかわからない地名ですがポートオーソリティのバスターミナルにはバス会社ごとに対面のチケット販売所があるので安心して買うことができました。4時間ほど揺られ、バスの聞こえないアナウンスをなんとか聞き取って最寄りのバス停へ到着するとShareの仲間の友人のルカシュさんが迎えに来てくれました。周辺には何もない森に囲まれた地ですが、バス停の所だけは駅みたいな感じで1~2軒商店がありそちらでビールを買いだして会場の「私有地」へ。林道のような入り口を入り、ウサギが目の前を通り過ぎて行くのがみえる森の中をかなり進むと、納屋が点在する拓けた場所にたどり着き、そちらでキャンプが行われていました。プライベートな会であるのかなと思うのですが、様々な知人が家族ぐるみで集っていてまるでプライベートな野外パーティーといった様子です。
ベースとなる納屋(屋根と壁だけで囲われたような小屋)に電線が表通りから一本伸びてきていて、絵に描いたような木製の電注が並んでおり電気は引いてあるようですが、水は自然水でトイレも自然、他にあるのは池や納屋や丘を含む広大な敷地…。でも皆何かしら表現者であり音楽やアートなどそれぞれの表現活動が無造作に持ち寄られている気配も感じました。ありがたいことにwifiを誰かが整備してくれて森の中ではあるけれど活動の発信も普通に行うことができる環境です。Master WotazumiのShare仲間で友人のジェフさんがいてほっとしたもののほとんど面識のない方々ばかりなので恐縮しておりましたが、その気遣いは無用であるとわかりました。皆特に周りを気のするわけでもなく座ったり歩いたり遊んだり、思いおもいに過ごしている自由な雰囲気がそこにありました。草原には楽器が並べられていて演奏したり飲みながら談笑したりと焚き火を囲みつつ森はすっかり夜になりました。
そのうち、どうしてそのような流れになったのか全く覚えていないのですが「舞踏をみよう」みたいな流れになり、即興パフォーマンスをさせてもらうことになりました。納屋の背後からスタンバって小屋からおどりはじめると、特に打ち合わせをしたわけではないのに、ジェフさんが自身の映像作品を納屋に投影し、さらにスピアーさんとMaster Wotazumiが演奏をしてくれて、その場での即興セッションはジェフさんの映像の素晴らしさもあり野外の空気感の中に存在する異空間と私のおどりのある意味ヤバさが意外なほどマッチして、自分でいうのも何ですがその場では大好評を得ました。
Members
Roomin’ – Butoh Dance
Master Wotazumi – Hotchiku
Steven Speers – reed flute
Geoff Matters – live visuals
翌日は、パフォーマンスで演奏してくれたスピアーさんがすっかりノリノリで、用事ついでに我々を車に乗せてくれていろいろお話ししたのですが、何だかすごいスピリチュアル系のスペシャリストらしくて(本人のキャラクターからは全くそんな雰囲気ではないのですが)ほんとニューヨークの多様性すごいな〜と感じるのでした。
そして全体に流れる自由な空気感の中にも撤収する際には全員で掃除と片付けを行い、私有地をコントリビュートしてくれた夫妻には感謝の念を伝えつつ森を後にしました。