和紙の造形作家柳井さんと初めて会ったのは東京の当時住んでいた国立で行われた作家さんの個展の打ち上げの会場でした。和紙を使った作品を作られているということをお伺いし、私も元々日本画作家をしておりましたので和紙にはシンパシーを感じていたのかもしれません、翌日には柳井さんが当時和紙工房主任を担当されていたあきる野市のふるさと工房に行って和紙のアトリエを拝見させていただきました。柳井さんもアーティストとして舞踏へのリスペクトをお持ちの方でなんとなく意気投合(?)し、ふるさと工房祭りで和紙の原液のバケツの中から出てきて歩き回るパフォーマンスをしたり、テルプシコールでの公演に作品を出していただいたりと何かと関わらせていただきました。柳井さんはその後国立から埼玉の飯能に拠点を移されていてそちらでのアトリエで行われる「創発プロジェクト」の一環である柳井さんの個展でおどるお話をいただいたのは2011年のこと。もちろん喜んで参加表明し下見に行ったりして、ちゃっかりフライヤーも制作させていただきました。その時の柳井さんの作品はアトリエ一面に水を張ったインスタレーションで、ちょっとすごい作品だったのですがそんな作品の中おどれて私にとっても印象深い作品となりました。(ちょうど東日本大震災の起きた年でもありました。)
嬉しいことに2014年にも創発プロジェクトの柳井さんのアトリエ開放展で再びおどる機会が…、Master Wotazumiの法竹即興演奏も参戦し、柳井さんの木の皮をアトリエ中に張り巡らせた「樹の中で」という作品とのコラボレーションとなりました。会場である柳井さんのアトリエは飯能の駅からバスと徒歩でしかいけない、行くのにハードルの高い会場ではあるのですが、当日はそのような場所であるにも関わらず大勢の方々がいらっしゃいまして(それこそ東京の会場で行う公演並みの方々にお立会いいただき)、私が前々から好きだった西荻窪のギャラリー「遊工房アートスペース」の方が、レジデンスアーティストを連れて観にきてくださったり、かなり打ち上げでも興奮しました。それもこれも柳井さんへの期待度としか言いようがないのですが、図々しくも柳井さんの感性と作家としての姿勢のようなものにすごく親近性を感じておりまして、こういう作家が世界に広く紹介されるべきだといつも思っております。
柳井嗣雄アトリエ開放展2014での舞踏の動画(部分)