5月の連休は気候もよく休みがまとまっていて動員しやすいせいかパフォーマンスイベントを興したい時期でもあります。2016年は国東半島のとったんにある伊美にて「国見町ギャラリーめぐり」というイベントに参加させていただきましたが(→国東の白昼夢パフォーマンス)その時に呼んでくれた別府在住の鉄の芸術家・マークは相当舞踏が気に入ったらしく舞踏靑龍會のアトリエ公演にも頻繁に訪れるようになっていました。そしてとうとう自分の個展のタイトルに「Butoh」を冠するに至り、2017年のGWには大分の久住高原で個展をするのでそちらで踊って欲しいというオファーをいただきました。マークが「Kuju」と繰り返し述べているので最初は「ナニソレ?」と思いましたが「久住」のことだとようやくわかりました。久住は大分県なのですが阿蘇高原に続く高原地帯で割と観光地というかリゾートの香りのするエリアかなと…果たしてそのような場所に美術ギャラリーがあるのかなと思ったのですが、あったのです。
マークが個展を行う会場は「みずしの森」というスペースで、ピザなどを提供するカフェにギャラリーを併設しているといったものらしいということはわかりました。マークがDMを作って欲しいというので、ギャラリーをチェックするとWEBに使われていた写真が素敵だったので、その写真を使いたくてギャラリーオーナーの秋月さんに連絡をとってみました。(ていうかマークに連絡を取るように言われた…、マークは日本在住15年以上なのですが誇り高きグレートブリテン魂で日本語を話しません。)写真使用の件は快諾いただきそれ以外にマークからは伝わりきらない事項を確認。パフォーマンスの前日に会場を下見に行くということになりました。別府のマーク宅から久住の会場までは車で1時間くらい。山道をうねうねと進み途中で高原のソフトクリームを食べつつみずしの森へ。会場のカフェ&ギャラリーはかなりキレイな建物&インテリアで新しい感じ。敷地はかなり広く雑木林一帯がこちらの庭となっていて、オブジェが点在する森に囲まれた想像以上に素敵な会場でした。パフォーマンスでもこの森を使わせていただけるとのこと。この場所は一応「竹田市」になるのですが、ちょうどその時竹田市長がいらしていて作品を熱心にみておられるなど地元にも根ざしているような印象を受けました。流石にこの立地なので集客は厳しそうですが、今回は舞踏靑龍會のちえちゃんと映像作家の園田氏がわざわざみにきてくれることになっていました。これもまた連休の良さかなと。
そして本番当日。前日までの雨がまだ残る空模様の中、もし雨が降っていたら最悪お客さんだけは室内からみてもらおうと考えを巡らせていました。ところが本番の直前にささ〜〜〜と雲が引いて先程までの曇天が信じられないくらいの青空となったのです。お客さんからみえる庭というか森のその奥にある一般の道路の方にスタンバイし、崖をよじ登って庭へとおどり出てきました。Master Wotazumiがぷフォり、この庭、というか森を縦横無尽に駆け巡り…、ちょうど雨の後で柔らかくなっていた腐葉土たっぷりの土の中に足をたっぷりめり込ませ、森の土の柔らかさやあたたかさや懐の広さのようなものをしかと足の裏にて味わい尽くしました。おどりながらこのように森の髄に触れられて非常に幸せを感じたのでありました。
ちえちゃんや園田氏にも、しかと立ち会っていただき、ギャラリーの常連さんなどにもお立会いいただきましたが、私が泥まみれで終演した際に「握手してください」と言われて、おそらく踊った後に全く知らない人から握手を求められたのはキャリア初めてのことではなかったんではないかと思います。そして足の裏にしっかりと刻んだ森の感触は私のちょっとした財産になったんではないかと思います。